昔、金八先生が3年B組の生徒に向かって説いていた「人という字は〜」のような講釈を、現実世界で面と向かってされたら、なに不自由なく健常な日々を謳歌する人の多くは、きっと「いきなりこの人、なに言っちゃってんの?」と眉をひそめることだろう。
このほど上梓されたルポライター・鈴木大介氏による『されど愛しきお妻様 「大人の発達障害」の妻と「脳が壊れた」僕の18年間』(講談社)は、ヘタをすると「なに言っちゃってんの」案件にもなりかねない、そんな「人と人とが支えあうことを大切さ」を、金八的な説教くささを抜きに、ストンと胸に落としてくれる1冊だ。
不定形発達、いわゆる「発達障害」を抱えた妻に代わって家事も仕事も一手に引きうけつつ、15年間、小言を言い続けてきた夫が、「後天的な不定形発達」とも言われる高次脳機能障害を抱えたことで、妻の不自由を理解し、家庭環境の抜本的な改善にも成功する――。
自身が脳梗塞を発症したことによって、思わぬ“副作用”を得ることとなった著者の鈴木氏に、本書執筆に至るまでの想いと、病をきっかけに深まった“お妻様”との関係性について聞いてきた。
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