アニメのようでアニメではない〝ゲキメーション〞なる耳慣れない手法を駆使して長編第2作となる『バイオレンス・ボイジャー』を完成させた宇治茶監督。独特の映像世界を織りなす3千枚もの原画をたったひとりで描き上げた孤高の天才が語る創作秘話とはーー。〝カメ止め〞ブームに続けとばかりに表舞台に躍りでた最注目クリエイターに肉迫する。 「絵の具のような独特なタッチが魅力的で『コレや』と思ったんですよ」 制作期間は実に3年の歳月 1人で6役を担った超大作! ──話題の新作『バイオレンス・ボイジャー』は、3千枚もの原画を含めてほぼひとりで制作されたとか。 「ひとりじゃなきゃ嫌だとかは思ってないんですけどね。ただ、大学のときからずっとひとりで絵を描いてきて、初めて作ったゲキメーションの短編も、その後の長編『燃える仏像人間』も結局ひとりでやったので、なんとなくそこは自然な流れでそうなって。まぁ、そのせいで僕の作画が追いつかなくて、完成自体もだいぶ遅れたんですけどね(笑)」 ──そもそも〝ゲキメーション〞とはどういうものなんでしょう? 「〝劇画とアニメの融合〞みたいに説明されることが多いんですけど、実際は背景絵の上でキャラクターを手で動かしてそれを撮るだけなので、ペープサートとか人形劇に近い。言ってみたら、最近のアニメとは真逆のアナログな手法でもあるんです。同じ手法で作られてた楳図かずお先生原作の『妖怪伝 猫目小僧』を観たときにコレや、と思ったんですよ。絵の具で描き込んだような独特なタッチがすごく魅力的で、これやったら自分の絵も活かせるんやないかなって」 ──なかなかどエラい展開をする物語ですが、本編で描かれるホラー&グロ的描写への憧憬は子どもの頃から? 「そうですね。原体験としてはスピルバーグの『ジュラシック・パーク』とかを映画館に観に行って、『映画って、スゴいな』と思ったのが大きいんですけど、昔からバケモンは好きですね(笑)でもその後、思春期に入って〝死〞ってものをリアルに意識するようになってからはむしろ敬遠していた時期もあって。本格的にまたハマるようになったのは、大学の自分の机にたまたま置いてあった楳図かずお先生のマンガ『洗礼』を読んで、ビビビッと来てからですね。まぁ、中学生の頃にも、包丁を持ってる人に追いかけられてる絵とかを描いて、親に心配されたりはしてましたけど(笑)」
0コメント